2012年度1月 月報
2012年1月20日
日本歯科医史学会第398回例会で「入交歯科医院蔵:東郷平八郎の総義歯」を発表。
副題は(東洋女子歯科医学専門学校教授・入交直重)です。入交直重(1887~1960)のご子息で入交歯科医院先代院長入交重道氏のご厚意により、2009年5月から元帥・海軍大将東郷平八郎が使用したと伝わる義歯を寄託しています。本年3月の寄託期間終了を前に、日本歯科医史学会で報告しました。
- 伝 東郷平八郎使用の総義歯(1.状態 2.材質 3.作製者 4.作製時期)
- 東郷平八郎
- 来歴(入交家の伝承)
- 東郷平八郎使用のものである証明(入交家に伝来する付帯資料/第三者資料の存在?)
- 入交直重
- 経歴
- 東京女子歯科医学専門学校設立申請書に記載された入交直重
- 関連事項 日本海海戦と東洋女子歯科医学専門学校 ‐海軍軍医宇田儉一 他
なお、5-2項の東京女子歯科医学専門学校は本学ではなく、昭和期に入って日本女子歯科医学専門学校と改称する現在の神奈川歯科大学です。従来、教育者としての入交直重の活動は本学と日本歯科大学(旧制日本歯科医学専門学校)の二校と考えられていました。東京都公文書館が所蔵する本申請書の記載によれば入交直重は東京女子歯科医学校の旧制専門学校昇格に関わり、設立した財団の理事に就任、また授業を担当した可能性もあります。
6項は日本海海戦で鹵獲した海防艦見島(旧ロシア海軍アドミラル・セニャーヴィン)に乗艦した海軍軍医・宇田儉一に触れました。宇田儉一は東洋学園創立者宇田尚の甥にあたり、軍縮期に海軍を退官して東洋女子歯科医学専門学校で衛生学を講義し、財団法人の協議員も務めています。