東洋学園大学 史料室

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2018年2月19日(~3月)


戦前のタイ王国留学生ご遺族より照会について調査、回答。


鎌倉市在住の女性の方から、ご夫君(タイ王国出身)の級友の故ご母堂に関する照会がありました。

故人は旧制東洋女子歯科医学専門学校指定後16回生(入学1937/卒業1941)、ブンソン・バンドユンナヴィン様の由、バンコクに住むご子息様より、母上が本学留学中の保証人かつ寄宿先だったDr. コーゾー・ノマとご子息ヤスル・ノマの消息を知りたいというご依頼です。お礼をお伝えしたいそうです。

情報はこれだけですが、本学から通学圏内の歯科医師もしくは医師であり、可能性はあると思いました。もとより独力では不可能で、和久本雅彦先生(和久本文枝をクリック)と日本歯科大学医の博物館の樋口輝雄先生にお力添えをお願いしました。

両先生のお力により1日でノマ先生父子、及びそのご子孫(全て歯科医師)の消息が判明し、依頼者の方にお伝えしました(21日)。


以後、電話とお手紙、また26日には依頼者のご夫君であるウクリッド・サラサス様が当室にお越しになり、サラサス様の紹介で留学生のご子息ポムシャイ・タンタセティ様と文通し、写真もお送りいただきました。

タイ王国(1939年までシャム)からは1936(昭和11)年以降、1945(同20)年卒業まで毎年、留学生を受け入れ、9名の卒業が確認されます。彼女らは卒業後も同窓の繋がりを維持し、ご子孫にも引き継がれていることを知りました。

1年後輩(指定後17回)のフヨー・ハタジツ様、2年後輩(指定後18回)のラッダー・スリティポン様(現姓:Charuwas)の消息も判明しました。Charuwas様は99歳でご健在とのこと、当室では彼女が残していった1943(同18)年卒業アルバムを展示しており、メール添付でお送りした展示状況写真を見ていただき、喜んでおられたとご報告いただきました。


サラサス様の父君、故ソムアン・サラサス様はタイ王国陸軍将校で第二次世界大戦当時から日本との縁が深く、戦後の疲弊した日本の子どもにゾウ(はな子)を寄贈されたことで知られます。はな子は2016年まで武蔵野市の井の頭自然文化園で長命しました。ソムアン・サラサス様の二番目の妹の方とフヨー・ハタヂツ様は、寄宿制私立学校のワッタナー校で同窓だったそうです。


戦前の歯科時代の本学はタイ王国をはじめアジア諸国、地域から多数の留学生を受け入れていましたが、戦局の悪化によって途絶え、空襲によって記録の大部分が失われました。


昨年(2017年)は日タイ国交樹立130周年でした。これを記念して外務省外交史料館は特別展「日本とタイ」を公開しています。このような折、今回のことも偶然ではなかったように思います。


参考:「波濤を越えて 東洋女子歯科医学専門学校の外国人留学生」展


タイよりお送りいただいた写真から。壱岐坂下の学生用玄関に繋がる階段で撮影されたタイ王国留学生。
左(上)から二人目が16回生ブンソン・バンドユンナヴィン様、その右隣が18回生ラッダー・スリティポン様(18回生)、一人置いて(右から二人目)17回生フヨー・ハタヂツ様。
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